働き方改革で日本人の働き方はどう変わるのか??

労働人口の減少、長時間労働の是正、生産性の向上といった日本の課題を解決するために、安倍首相が「最大のチャレンジ」として位置付けているのが「働き方改革」です。

安倍首相が2016年9月26日に新たに設置した「働き方改革実現会議」はこれまでに計5回開催されており、以下の9つのテーマが話し合われています。

1.同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善
2.賃金引き上げと労働生産性の向上
3.時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正
4.雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の問題
5.テレワーク、副業・兼業などの柔軟な働き方
6.働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備
7.高齢者の就業促進
8.病気の治療や子育て・介護と仕事の両立
9.外国人材の受入れの問題

 
※参考サイト「首相官邸:働き方改革実現会議」
 

政府は3月末に働き方改革の実行計画をまとめる予定なので、その頃には日本人の働き方に対する規制がどのように変わるのか明らかになると思います。

しかし働き方改革は既に5回開催されてその議事録も公開されていますし、働き方改革に関する様々な報道も出ています。

そこで、働き方改革によって規制や企業がどのように変わりそうなのか、現時点で分かる範囲で政府・企業の取り組みをまとめてみたいと思います。

 

働き方改革によって日本人の働き方はどう変わる??

月の残業時間の上限が60~80時間になる

政府は月の残業時間の上限を60~80時間とする労働基準法の改正を計画しています。

これは2月1日に開かれる働き方改革実現会議で議論され、厚生労働省が年内に労働基準法改正案を提出する見込みのようです。

現状の法律では、企業と従業員の間の労使協定である36協定に特別条項をつければ、残業時間を制限なく延ばすことができます。

この特別条項を締結している企業は全体の2割もいるようで、政府はそれらの企業に対して残業時間の上限規制を設けようとしています。

上限が60時間になるのか80時間になるのかはまだ確定していませんが、政府は2019年度からの施行を目指しているようです。

 

正社員と非正規社員の待遇格差が縮小する

2016年12月20日に働き方改革実現会議は「同一労働同一賃金」のガイドライン(指針)案をまとめました。

指針案では基本給や賞与、福利厚生等について、どんな待遇差であれば「不合理で問題があるのか」を具体例を交えて示しています。

例えば基本給であれば、「職業経験」「業績・成果」「勤続年数」が同じであれば、正社員でも非正規社員であっても同一の金額にすべきとされています。

※参考サイト「厚生労働省:同一労働同一賃金特集ページ」

 

副業・兼業がしやすい環境になる

政府の働き方改革では、正社員の副業や兼業を後押ししようとしています。

第一段階として、企業が就業規則を定める時に参考にする厚生労働省の「モデル就業規則」における副業・兼業禁止規定を、「原則禁止」から「原則容認」に変更する見通しです。

政府が副業を後押しする背景には、少子高齢化による労働力不足があります。

副業や兼業により労働力の不足を補い、さらに労働者のスキルを向上させて成長産業への雇用の流動化を促すのがねらいです。
 

しかし一方で、日経が実施した上場企業301社に対する意識調査によると、「副業・兼業を禁止している」と答えた企業が全体の70%以上となったようです。

副業を禁止している企業にその理由を聞いたところ、「本業に支障をきたす」と答えた企業が86%を占めていました。

副業の容認に対して企業があまり積極的ではないので、「副業が当たり前な世界」が実現するにはまだ時間がかかるとも思います。

とはいえ政府が本気で副業人口を増やそうとしているので、徐々には増えていくんでしょう。

最近では以下のようなサラリーマンの兼業を促すサービスも数多く出てきています。

ビザスク

プロクル

サンカク

パラフト

コデアル

パラレルジョブネット

TEAMGUILD

アサインナビ

ローンディール

flexy

インスタントチーム

cluster.

 

働き方改革に対する企業の取り組み

政府が働き方改革に力を入れているのを受けて、企業側でも様々な働き方改革が行われています。

既に発表されている主な取り組みについてご紹介します。

損害保険ジャパン日本興亜

損害保険ジャパン日本興亜は2017年度中に社員向けの企業内保育所を設ける。まず本社のある新宿地区に開設する。定員は30人程度を想定。グループの損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の社員も対象にする。子育てをしながら働く社員を支援する。

損保ジャパンは1月から育児休業中の社員の職場復帰を促すため、希望者に自宅で作業が可能なデータ作成などの定型業務を依頼する「テレワーク」を始めるなど、働き方改革の取り組みを強化している。
(出所:2017年1月22日の日経報道)

 

サイボウズ

ソフト開発のサイボウズは17日、同社での仕事を副業とする人材を募集する新たな採用方法「複業採用」を始めたと発表した。勤務日数などの条件は個別に面談して決める。同社は2012年から社員の副業を認めており、政府の働き方改革が進む中、多様な人材の獲得につなげる。

他社または個人事業主などで既に仕事を持ちながら、サイボウズの理念に共感できる人材を対象に募集する。現時点では募集職種を一部に限っているものの、今後は状況に応じて職種を拡充することも検討する。勤務地は東京、大阪、松山だが、相談次第で在宅の可能性もあるという。
(出所:2017年1月19日の日経報道)

 

トヨタ自動車

トヨタ自動車は、親が職場に連れて来た子どもを離れた場所にある自社の託児所まで送迎する「送迎保育」を2018年春にも導入する方向で調整に入った。仕事と育児の両立を支援する狙いで、労働組合との調整を進めて実現を目指す。

同社は18年4月にトヨタ記念病院(愛知県豊田市)に託児所を新設する計画がある。トヨタの本社・工場は同市内に集中している。複数の工場などで働く従業員の子どもを、出勤後にバスで1カ所の託児所に集める形になる。託児所の設置とあわせて送迎保育も導入すれば、従業員の利便性が高まるほか、効率的な運営も可能だ。
(出所:2017年11月16日の日経報道)

 

これらはあくまでも代表例です。

働き方改革に対する企業の取り組み事例に関しては、以下のページに一覧がまとめられています。

※参考サイト「働き方改革取組事例」

 

働き方改革を支援するサービスを開始した企業

働き方改革をビジネスチャンスととらえて企業の働き方改革を支援するサービスを開始した企業もたくさんあります。

主なもの日経新聞から引用する形でいくつか紹介します。

ドコモ

NTTドコモは月内にも企業の働き方改革を支援する新たなIT(情報技術)サービスを本格的に始める。オフィスと社員の自宅など複数の拠点をネットでつなぎパソコンで打ち合わせができるウェブ会議システムを売り出す。電話よりも話し声が途切れにくく、会議室に集まっているかのように議論しやすいという。2018年度に25億円の売り上げをめざす。

会社や自宅のパソコン、スマートフォン(スマホ)を使って同じ資料を見ながら会議を進められる。参加者がマイクを通じて発言すると全員に高品質な音声が届く。
(出所:2017年1月19日の日経報道)

 

ジェイアイエヌ

眼鏡専門店「JINS」を運営するジェイアイエヌは18日、社員の働き過ぎを把握できる企業向けサービスを始めたと発表した。社員一人ひとりの仕事への集中度合いが数字で分かる仕組み。利用企業は忙しすぎる社員を早く休ませるなど対策を取りやすくなる。

社員が眼鏡型のウエアラブル端末を着用。頭の傾きや視線の動きから仕事への集中度を測定する。0~100までの数字で示し、上司はそれをパソコン画面などで見られる。

企業は集中の度合いを管理することで、働き過ぎの社員を減らすことができる。働き方改革を進める企業が増えており、需要は大きいとみている。導入費用は眼鏡1本あたり税別3万9千円、必要なアプリは1人あたり月々同500円。初年度は20社、8千万円の売り上げを目指す。
(出所:2017年1月18日の日経報道)

 

日立製作所

日立製作所は米不動産サービス最大手のジョーンズラングラサール(JLL)と、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」事業で提携する。各種センサーでオフィスの利用状況や人の動きを細かく調べ、人工知能(AI)解析を加えて職場づくりを顧客企業に助言する。

日立のIoTサービス基盤「ルマーダ」を活用する。顧客企業のオフィス内にある机や椅子、扉などに小型センサーを取り付ける。感知した熱や振動データから、各社員がどれぐらい机に向かっていたか、いつどのように会議室を利用したかなどの情報を集める。

収集データはルマーダ内のAIで解析し、作業が滞る場所や時間帯、無駄な空間の有無といった問題点をあぶり出す。JLLの専門コンサルタントが解析結果をもとに、設備のレイアウト変更や最適な作業手順を助言。仕事効率の向上に役立ててもらう。社内での無駄な移動や会議も減らせるため、長時間勤務の是正にもつながる。
(出所:2017年1月16日の日経報道)

 

PwCコンサルティング

PwCコンサルティングは22日、データアナリティクスの手法を活用した、企業の働き方改革を支援するサービスを開始すると発表した。

同サービスは、Googleの法人向けグループウェア「G Suite(旧Google Apps for Work)」 のメール、カレンダー、オンラインチャットなどから得られる行動データを分析して社員の働き方を可視化し、人事データと紐付けて分析することで課題を抽出して改革の推進を後押しするもの。

時間配分や他者との協働傾向、社内外での人的ネットワーク構築状況など、個々の社員の働き方を可視化し、勤怠、人事評価、満足度調査などの人事データと紐付けてパフォーマンス、満足度、メンタルヘルスの差異と働き方との関係を分析し、最適な労働環境を整備していく上での課題を明らかにするとしている。
(出所:2016年12月22日のマイナビニュース)

 

働き方改革を支援するサービスは「従業員を監視してデータを集める→改善案を提案する」というタイプが多いようです。

データ収集は個人を特定できるものではなく匿名データになるんだとは思いますが、個人的にはあまり自分の会社には導入してほしくないサービスですね。

常に監視されているという意識は精神的にはあまり健康な働き方には思えませんので。

 

個人的には、政府の働き方改革は大歓迎です

働き方改革を支援する企業のサービスはあまり歓迎できなさそうなものもありますが、個人的には長時間労働の是正や副業の推進といった政府の働き方改革を全面的に支持しています。

日本人の労働生産性が他の先進国と比べてかなり低い水準にあるというのは有名な話ですが、働き方改革によって日本人の生産性が上がれば、労働力の不足、賃金の下落傾向、個人消費の低迷といった日本の様々な課題が解決されると思っています。

実現にはまだまだ時間がかかるとは思いますが、ひとまずは2017年3月末に決まる予定の働き方改革の実行計画を楽しみに待とうと思います。

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